感染症|天童市泉町の小児科|天童ハート小児科

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感染症

感染症|天童市泉町の小児科|天童ハート小児科

感染症

世の中には非常に多くの病原体が存在し、それぞれが様々な症状を引き起こします。ここでは、そのうちのごく一部、代表的なもののみをご紹介します。
(なお、お子さんが熱を出した場合、原因となる病原体を特定できないことが大半です)
感染症の症状の重さは人それぞれで、非常に重症化することもあれば、極めて軽症で感染に気づかないこともあります。

主要な細菌感染症

肺炎球菌、インフルエンザ菌(Hib)
気管支炎、肺炎、中耳炎、化膿性髄膜炎、敗血症の原因となり、予防接種が普及する2010年以前は毎年多くの死者が出る極めて恐ろしい感染症でした。細菌培養検査で診断し、抗菌薬で治療します。肺炎球菌とHibは5種混合ワクチンに含まれているため、必ず接種してください。
溶連菌感染症
飛沫感染し、潜伏期間は2~5日です。発熱、咽頭痛、イチゴ舌、頭痛、腹痛、発疹がみられ、5~15歳に多く、繰り返しかかることもあります。迅速検査で診断可能です(迅速検査の意義が高い疾患の一つです)。抗菌薬を内服しますが、リウマチ熱という合併症を予防するために最後まで飲み切ることが重要です(すっかり元気になった後も内服を継続します)。
百日咳
百日咳菌による感染症です。飛沫感染し、潜伏期間は7~10日です。激しい咳込みや、吸気性笛声(息を吸うときのヒューっという音)を繰り返す特有の咳が何週間も続きます。特にワクチン未接種の0歳児は重症化しやすく、入院を必要とすることもあります。百日咳は5種混合ワクチンに含まれていますので、必ず接種してください。
マイコプラズマ感染症
気管支炎や肺炎の原因となります。潜伏期間は2~3週間と長く、コンコンとした咳が見られ、鼻汁がないのが特徴です。迅速検査など複数の検査方法があります。治療には抗菌薬が使われます。

主要なウイルス感染症

気管支炎・肺炎になりうるウイルス感染症

インフルエンザ
インフルエンザはインフルエンザウイルスA型、B型による感染症です。潜伏期間は1~7日で、冬に流行します。発熱、寒気、咽頭痛、頭痛、関節痛、倦怠感、咳嗽、鼻汁などの症状があります。通常、2~3日で解熱しますが、その後再度発熱することもあります。迅速検査で診断しますが、流行状況や症状のみから診断されることもあります。抗インフルエンザ薬で治療します。重症化を防ぐため、予防接種(任意接種・有料)をお勧めします。
RSウイルス感染症
年長児や成人は軽い風邪症状だけの場合が多いですが、乳幼児は呼吸が「ぜーぜー」する細気管支炎や肺炎に進展し、発熱、鼻汁、咳、哺乳不良などが見られます。1週間以上症状が重い状態が続き、入院が必要になることもあります。迅速検査で診断します(適応は通常1歳まで)。抗ウイルス薬はなく、対症療法を行います。
ヒトメタニューモウイルス感染症
風邪症状のみのことが多いですが、細気管支炎、肺炎に伸展し、「ぜーぜー」とした呼吸になる場合もあります。潜伏期間は4~6日です。迅速検査で診断します(検査ができるのは6歳未満)。対症療法を行います。
新型コロナウイルス感染症
小児は成人と比較して軽い風邪症状のみで済む場合が多いと言われていますが、強い呼吸障害が生じたり、熱性けいれんの原因になったりすることもあります。迅速検査で診断します。重症ではない小さなお子さんの場合、対症療法を行います。

いわゆる夏風邪

ヘルパンギーナ
急な高熱と口の中の小水疱(みずぶくれ)を特徴としたウイルス感染症です(コクサッキーA群、B群、エコーウイルス)。潜伏期間は1~5日で、夏に流行します。対症療法を行います。
手足口病
発熱と手・足・口(手のひら、足の裏、口の中)の小水疱を特徴とするウイルス感染症です(コクサッキーA6、A10、A16、エンテロ71)。ウイルスの種類によって発疹の分布が異なります。潜伏期間は1~5日で、夏に流行します。対症療法を行います。

ウイルス性発疹症

はしか(麻疹)
麻疹ウイルスによる感染症で、予防接種がない時代は「命定め」と言われ、多数の子供が亡くなった恐ろしい病気です。極めて感染力が強く、対面しなくても同じ部屋にいるだけで感染します。発熱、咳、鼻水を伴うカタル期、一旦解熱した後に再発熱と発疹が現れる発疹期、そして解熱し発疹が消失する回復期の3期に分けられます。麻疹は定期予防接種の対象であり、必ず接種してください。
風疹
風疹ウイルスによる感染症です。リンパ節の腫れ、咽頭痛、頭痛などの症状が現れた後、発疹と発熱が同時に認められます。発熱は2~3日、発疹は3~5日で消失します。対症療法を行います。
また、妊娠20週未満の未感染の妊婦が感染した場合、胎児が先天性風疹症候群(心疾患、難聴、白内障などの重篤な先天性異常)を発症することがあります。
風疹は定期予防接種の対象であり、必ず接種してください。
水ぼうそう(水痘)
水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症です。潜伏期間は14~16日です。空気感染、飛沫感染、接触感染します。微熱と水疱(水ぶくれ)で発症し、1週間程度で治癒します。すべての発疹が「かさぶた」になれば、治癒と判断します。抗ウイルス薬の内服と、発疹に対する塗り薬を処方します。水痘は定期予防接種の対象であり、必ず接種してください。
突発性発疹
ヘルペスウイルス6型、7型による感染症です。通常、3~4日間の熱が続き、解熱とともに全身に発疹が出現します。通常、臨床経過から診断され、対症療法を行います。
りんご病(伝染性紅斑)
パルボウイルスB19による感染症です。潜伏期間は7~10日です。1~2日間の発熱を認めた後、両頬がりんごのように赤くなり、全身にレース状の発疹が現れます。感染力は発熱時に強く、発疹出現時には弱くなります。妊婦が感染すると、胎児に重症貧血を引き起こすことがあります。

その他のウイルス感染症

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)
ムンプスウイルスによる感染症です。潜伏期間は15~24日です。風邪症状の後、高熱とともに耳の下の耳下腺(唾液腺)が腫れます。症状は1週間程度で消失し、対症療法を行います。難聴や不妊の原因となることもあります。ワクチンは定期接種ではありませんが、接種することをお勧めします。
ヘルペス性歯肉口内炎
単純ヘルペスウイルスの初感染で見られます。口腔粘膜、頬粘膜、舌、歯肉などに水疱、発赤、潰瘍が認められます。抗ウイルス薬の内服および塗布を行います。経口摂取が困難な場合には、入院して抗ウイルス薬の投与や点滴での水分補給が必要になります。
アデノウイルス感染症
様々な型があり、結膜炎、咽頭炎・扁桃炎、胃腸炎などの原因となります。高熱が5日前後と比較的長く続くことがあります。迅速検査で診断します。消耗や脱水により、輸液や入院加療が必要になることもあります。

迅速検査

世の中には無数の病原体がありますが、そのうちごく一部が院内で検査可能です。

  • 鼻に綿棒を入れる検査:インフルエンザ、新型コロナウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、百日咳
  • 喉に綿棒を入れる検査:マイコプラズマ、溶連菌、アデノウイルス(咽頭炎)
  • 便の検査:アデノウイルス(胃腸炎)、ノロウイルス、ロタウイルス、カンピロバクター

(検査キットの入荷状況などにより検査ができないこともあります)
通常、10分~30分で結果が分かります。

迅速検査のメリット

  • 病原体に対する直接的な治療に役立つ
  • インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳、溶連菌、カンピロバクター、新型コロナウイルス:抗菌薬や抗ウイルス薬の選択に役立ちます。
  • 症状の原因がわかることで、今後の見通しがある程度立つ
  • 隔離や出席停止の判断材料となる

迅速検査のデメリット/苦手分野

検査結果が陽性であっても陰性であっても、治療内容が変わらない場合がある
RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス
精度が完璧ではない
  • 偽陽性:本当は病原体はいないのに、陽性の結果が出てしまうこと
  • 偽陰性:本当は病原体がいるのに、陰性の結果が出てしまうこと

特に発熱から間もない時期のインフルエンザ迅速検査では偽陰性になりやすいと言われています。インフルエンザ流行時期は、発熱直後に来院して検査が陰性だった場合でも、状況や診察結果からインフルエンザである可能性が極めて高い場合は「みなし陽性」としてインフルエンザと診断することもあります。また、発熱から12時間以上経過してからの(再)検査をお勧めすることもあります。
周囲の流行状況や医師による身体所見の結果、その感染症である見込み(検査前確率)が高くないにもかかわらず迅速検査を行うと、偽陽性が増えて不利益をもたらします(これはベイズの定理に基づいて数学的に証明されています)。

痛み・苦痛を伴う
特に鼻に綿棒を突っ込んでの検査は、お子さんに大変な苦痛を与えます。「注射よりイヤ」という場合も少なくありません。
たまたま病原体がそこにいただけで、実際には悪さをしていないことがある

迅速検査の保険適応

検査によっては、限られた条件の場合のみ保険適応となることがあります(それ以外は自費)。

  • インフルエンザウイルス:発症から48時間以内
  • ノロウイルス:3歳未満
  • ヒトメタニューモウイルス:6歳未満で肺炎が疑われる場合
  • RSウイルス:1歳未満、あるいは抗RSウイルス抗体投与の適応がある場合(など)

以下のような場合は、原則として自費診療となります

上記の保険適応外の場合

無症状だが、心配なので検査をする場合、園や学校からの指示で検査をする場合
保険診療と自費診療を同時に行う混合診療は禁止されているため、自費診療となった場合は他のすべての医療行為分もまとめて自費となり、高額な支払いが必要となります。

誰に検査をする?

検査の必要性は医師が判断しますのでご了承ください。過剰な検査はお子さんに負担をかけ、偽陽性の確率を上げることになります。