大動脈弁二尖弁|天童ハート小児科|天童市泉町の小児科

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大動脈弁二尖弁

大動脈弁二尖弁|天童ハート小児科|天童市泉町の小児科


先生!うちの子、「ダイドウミャクベンニセンベン」って言われたんです。心臓の病気だと言うことで、すごく心配してます…。「ベン」の形が生まれつきおかしいと言われたんですけど、これって、どんな病気なんでしょうか?

 


大動脈弁二尖弁のことですね。実は非常に頻度の高いもので、生まれつきの心臓の病気(先天性心疾患)の中では最多と言われています。(ただし、小さな頃に見つからないことが多いので、患者さんとして認識されている数はもっと少ないです)

詳しくみていきましょう。

 

 

【ざっくりと!】

・心臓には、4つの部屋、4つの扉()があり、血液を回収して送り出すという役割があります。
・左心室という部屋の出口(=大動脈という血管の入り口)には、大動脈弁という扉があります。
・大動脈弁は3枚のドアから成りますが、それが2枚しかない状態が「大動脈弁二尖弁」です。
・ドアが狭くなる(大動脈弁狭窄)、ドアを血液が逆流する(大動脈弁逆流)、ドアの先の血管が太くなる(上行大動脈拡大)などが問題となります。これらは、年月の経過と共に悪化しやすいと言われています。
・大動脈弁狭窄や大動脈弁逆流がある場合は、感染性心内膜炎の予防が必要になります。
・超音波で定期的な検査を行います。重症度によっては、将来運動制限、内服、手術、カテーテル治療などが必要になることがあります。

 

【正常な心臓】

心臓の大雑把な形を把握するために、最初に以下のページをご覧いただくと良いでしょう。
正常な心臓(形と流れ)のページ

 

【どんな形?】

左室と大動脈の間には、大動脈弁という扉があります。通常は3枚のドア(弁尖べんせん、と言います)から成りますが、そのうちの2枚がくっついてしまう(癒合)ことによって弁尖が2枚になってしまうことがあります。これを大動脈弁二尖弁と言います。

およそ50200人に1人の割合でみられる先天性心疾患の一種です。

 

正常の大動脈弁を上から見下ろすと、下のような形になっています。3枚のドア(弁尖)があります↓

 


 (閉鎖時)        


 (開放時)

 

 

大動脈二尖弁の絵は以下のようになっています。2枚の弁尖がくっついてしまった結果(癒合といいます)、弁尖が2枚だけになっています。(更にこの絵では、十分に弁が開かない「開放制限」も見られます)↓


(閉鎖時)

 

 
(開放時)

 

 

 

【どんな問題が生じる?】

大動脈弁二尖弁であっても、一生なんの問題もなく過ごす人もいます。一方で、以下のような問題が生じる場合があり、注意が必要です。

・大動脈弁狭窄
二尖弁の場合、ドアが分厚くなる、開きが悪くなる、などの問題を合併することがあります。すると大動脈弁が狭くなり、これを「大動脈弁狭窄」と言います。
左室は収縮と拡張を繰り返していますが、収縮するときに大動脈弁を介して大動脈に血液を送っています。その際に大動脈弁が狭ければ、左室の中の血圧を上げないと大動脈に血液を送ることができなくなり、左室に負担がかかります。左室にとっては常に筋トレをしているのと同じ状態ですので、左室の壁が厚くなります(左室肥大)。重症化すると運動時の胸痛、息切れ、失神などが見られるようになります。
大動脈弁は老化によって高齢になると多くの場合加齢変化で狭窄していくものですが、二尖弁があるとより早い時期から狭窄が生じやすいことが知られています。

・大動脈弁逆流
左室が拡張しているとき、上流にある扉(僧帽弁)が開いて血液を回収します。その際、大動脈弁はしっかり閉じて、大動脈の中の血液が左室に逆流しないようにしなければなりません。
二尖弁の場合、2枚のドアの合わさりが悪くなることがあります。その結果、拡張期に大動脈弁を介した逆流が生じます。
左室から見ると、せっかく送り出した血液が何度も自分のところに返ってくるので、内側の空間(内腔)が拡大します(左室拡大)。重症化すると、運動時の息切れ、胸痛、横になるのが苦しい、などの症状がみられるようになります。

 ・上行大動脈拡大
特に大動脈弁二尖弁に大動脈弁狭窄を合併した場合、狭い所を無理くり通過した血液がかなりの高速で大動脈に流入します。
通常人の体の中の血液は速いところでも2m/秒以下ですが、大動脈弁狭窄の場合は時に5m/sを越えることがあります。そのような高速の血流が当たった大動脈の壁は、内側から強い力が加わるため外側に膨らんでくることがあります。これを上行大動脈拡大と言います。
高度の拡大が生じた場合は、破裂や解離(血管の壁が2層に裂ける)などの非常に重篤な事態に陥るリスクが高くなります。ある程度拡大が進行した場合は、拡大してしまった血管を人工血管に置き換える手術が必要になることがあります。

 

【感染性心内膜炎の予防】

大動脈弁二尖弁に、大動脈弁狭窄や大動脈弁逆流を合併した場合は、感染性心内膜炎の予防が必要になります。
感染性心内膜炎の予防のページへ

 

【聴診で何が分かる?】

大動脈弁狭窄の場合は、左室が収縮するタイミングで雑音が聞えます。
大動脈弁逆流の場合は、左室が拡張するタイミングで雑音が聞えます。

 

【エコーで何が分かる?】

大動脈弁の形、狭窄や逆流の程度、上行大動脈拡大の様子、左室の肥大や拡大などを観察します。精密検査や治療が必要そうだと判断した場合は、専門の総合病院へ紹介します。

 


扉が2枚しかなくても、きちんと働いている間は特に心配いらないのですね。

 


その通りです。ただ、異常を早期に発見するために特に狭窄・逆流が見られる場合は定期的なフォローが必要です。
心配なことがあったら、いつでもご相談下さい。