
「心電図異常」と指摘されたら…慌てずに、まずはご相談ください
お子さんの学校心臓検診で「心電図異常」という結果を受け取って、ご心配されている保護者の皆様へ。
「心臓に異常があるなんて…」「何か大変な病気なのでは?」と、不安になるお気持ち、本当によく分かります。
当院にも、学校検診で心電図異常を指摘され、不安な表情で来院されるお子さんと保護者の方が多くいらっしゃいます。でも、どうかご安心ください。心電図異常のすべてが、すぐに治療が必要な重い病気というわけではありません。
「心電図異常」って、そもそも何?
心電図は、心臓が動くときに発生する微弱な電気の波形を記録したものです。この電気の波形に、普段とは異なるパターンが見られたときに「心電図異常」と指摘されます。
心臓は、まるでポンプのように全身に血液を送り出す大切な臓器です。このポンプが規則正しく動くために、心臓の中には電気の通り道が整備されています。この電気の流れに何らかの「特徴」が見られると、心電図に異常として現れることがあるのです。
よくある「心電図異常」の種類と、それぞれの特徴
学校検診で指摘される心電図異常には、いくつか種類があります。当院のホームページでも、それぞれの病気について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 上室期外収縮・心室期外収縮: 心臓が正しいタイミングではない時に、余分な収縮をしてしまうタイプです。多くは心配いりませんが、頻度が高い場合や、他の不整脈のきっかけになる場合は詳しい検査や治療が必要になることもあります。 [詳しくはこちら:上室期外収縮、心室期外収縮]
- 上室頻拍: 心臓が異常に速くドキドキしてしまうタイプです。突然の動悸として自覚されることが多く、発作を予防するための治療が必要になる場合があります。 [詳しくはこちら:上室頻拍]
- 心室肥大(左室肥大、右室肥大): 心臓の壁の一部が通常よりも厚くなっていることが疑われる状態です。心臓に負担がかかる病気が隠れている可能性があり、精密検査で原因を突き止めることが重要です。心エコー検査などで詳しく調べます。
- WPW症候群: 心臓に「余分な電気の抜け道」があるタイプです。普段は無症状でも、突然動悸を感じたり、ごく稀に重い不整脈に繋がったりすることがあります。 [詳しくはこちら:WPW症候群]
- QT延長症候群: 心臓の電気的な興奮の始まりから終わりまでの間隔(QT時間)が長いタイプです。普段は元気でも、突然の失神や、ごく稀に命に関わる不整脈を起こすリスクがあるため、しっかりとした管理が必要です。 [詳しくはこちら:QT延長症候群]
- ウェンケバッハ型2度房室ブロック: 心臓の電気の通り道の一部で、電気が一時的に流れにくくなるタイプです。ほとんどの場合、治療の必要がなく心配のないものですが、念のための検査が推奨されます。 [詳しくはこちら:Wenkebach型2度房室ブロック]
- 脚ブロック(右脚ブロック、左脚ブロック): 心臓の中の電気の通り道(刺激伝導系)のうち、「脚」と呼ばれる部分に電気の流れが滞る状態です。右脚ブロックも左脚ブロックも、それ単独で他に異常がない場合は心配ないことがほとんどですが、背景に異常がないか検査が必要です。 [詳しくはこちら:脚ブロック]
なぜ、すぐに精密検査が必要なのでしょうか?
心電図異常を指摘されたからといって、すべてのお子さんがすぐに治療が必要になるわけではありません。しかし、中には放置すると危険な不整脈に繋がったり、心臓に隠れた病気がみつかったりする可能性もあります。
学校検診は、大勢のお子さんを対象に行われるため、精密な診断まではできません。そのため、「精密検査が必要」という指示が出た場合は、専門の医療機関でより詳しく心臓の状態を調べてもらうことが大切です。
当院でできること
当院では、学校心臓検診で心電図異常を指摘されたお子さんに対し、詳細なWEB問診と診察を行います。必要に応じて、以下のような検査を実施し、お子さんの心臓の状態を詳しく評価します。
- 12誘導心電図: より詳細な心臓の電気的な活動を記録します。
- 心エコー検査: 超音波を使って心臓の形や動き、血液の流れなどを確認します。
- ホルター心電図: 小型の心電図記録装置を装着し、日常生活の中で24時間以上の心電図を記録することで、不整脈の頻度や種類を調べます。
これらの検査結果に基づき、お子さんにとって最適な治療方針や、日常生活で気をつけるべきこと(運動制限の有無など)を、保護者の皆様に分かりやすくご説明させていただきます。
「運動制限」と聞くと、お子さんも保護者の方も辛い気持ちになるかもしれません。しかし、お子さんの命を守り、元気に過ごしてもらうために、時には運動の制限が必要になる場合もあります。当院では、お子さんの気持ちに寄り添いながら、なぜ運動制限が必要なのかを丁寧に説明し、学校生活管理指導表の記載などもサポートさせていただきます。 [詳しくはこちら:運動制限(学校生活管理指導表)]
不安な気持ちを抱え込まずに、まずはご相談ください
お子さんの心臓のことで不安なこと、疑問に思うことがあれば、どうぞ一人で抱え込まずに、お気軽に当院にご相談ください。お子さんの健やかな成長を、当院は全力でサポートいたします。