小児心臓外来
当院の院長は小児科専門医であると共に、日本小児循環器学会専門医および日本成人先天性心疾患専門医の資格を有しています。また、開業直前まで山形大学医学部附属病院の小児循環器グループ長を務めていました。(循環器とは、心臓や血管など血液の循環に関わる内臓や器官を指します。)
天童ハート小児科では、その名の通り、子供の心臓(heart, ハート)に関する専門診療を行っています。心臓は、皆様がイメージする通り、まさに命そのものです。全身の隅々に血液を送り、人が生きるのに欠かすことのできない酸素と栄養を、一時も休むことなく送り続ける、とても大切な臓器です。
当院では、生まれたばかりの赤ちゃんから診療可能です。また、生まれつきの心臓病(先天性心疾患)の場合は、成人された方も診療可能です。
(7、8番についても、お気軽にご相談ください。なお、一般外来診療中にご相談いただいた場合は、あらためて心臓外来をご案内することもありますのでご了承ください。)
生まれつきの心臓の病気のことを「先天性心疾患」と呼びます。心臓の中の壁に穴が開いている、心臓の中の弁が狭かったりしっかり閉じなかったりする、心臓周辺の血管に異常があるなど、さまざまなパターンがあります。生まれてくる赤ちゃんの約100人に1人の割合で見られる比較的高頻度の疾患です。心臓の雑音、哺乳不良、体重増加不良、チアノーゼ(泣いた際に顔色が紫っぽくなる)、学校検診での心雑音などをきっかけに発見されることが多いです。最近では重症なものを中心に胎児期に発見されることも増えています。診断には心エコーが決め手となります(当院で実施可能)。必要な検査や治療は、疾患の種類や重症度によって大きく異なります。全く治療が必要なく経過観察のみで良い場合もあれば、入院や手術が必要な場合もあります。
例:心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、動脈管開存症、肺動脈弁狭窄症、肺動脈狭窄など
先天性心疾患を持って生まれたお子さんが成人すると、「成人先天性心疾患患者」と呼ばれるようになります。小児期に心臓手術を受けた後、「もう治ったから大丈夫」と言われ、定期的な通院をしていない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、手術後に長い時間が経過すると、弁膜症、心不全、不整脈、肺高血圧などの問題が生じる可能性があります。そのため、定期的なフォローが推奨されています。院長は、日本成人先天性心疾患専門医であり、高齢者も含めた成人先天性心疾患患者を多数診療してきました。
上記に当てはまる方も、遠慮なくご相談ください。
心臓のリズムが一定でない状態を指します。自覚症状がなくても健診や予防接種の際に発見されることがあります。小学生以上では、胸がドキドキする、脈が飛ぶ感じがするなどの自覚症状から気づかれることもあります。また、心臓検診の心電図検査で異常を指摘されることがあります。
診断には心電図検査が決め手となります。種類や病状によって、経過観察のみで良い場合、内服薬が必要な場合、カテーテルアブレーションなどの高度な医療を必要とする場合があります。
例:心房期外収縮、心室期外収縮、心房頻拍、WPW症候群、房室回帰性頻拍、房室結節回帰性頻拍、洞性徐脈など
小学校入学前のお子さんに見られることが多い病気です。高熱を契機に発症し、目、口、指先などが赤くなり、全身に発疹が見られます。入院して点滴治療が必要です。高い熱が続くと、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈(かんどうみゃく)に瘤ができることがあります。自然に改善することもありますが、後遺症を遺すこともあります。
退院後も定期的にエコーで評価を行います。
思春期に胸の痛みを訴えることが比較的多くあります。心臓が原因の場合は重症であることが多いですが、小児の胸痛のうち心臓由来のものは1%程度と非常に稀です。しかし、運動中の胸痛、失神を伴う、顎・左肩・左腕も一緒に痛くなる、突然死の家族歴がある、動悸を伴う場合は、心臓由来の痛みの可能性があるため特に詳しい検査が必要です。
原因検索には心電図、エコー、レントゲンなどを使用しますが、約半数は原因が不明です。その場合、ほとんどは自然に改善します。
そのほか、呼吸器(空気の通り道)、胸膜(肺を包む膜)、消化器(食べ物の通り道)、筋肉や骨、などが痛みの原因となりえます。
例:プレコーディアルキャッチ症候群、肋骨・肋軟骨炎、気胸、心疾患(虚血、不整脈、心筋炎、肺高血圧)など
心臓には4つの扉(弁)があり、その扉がバタンと閉じる時に音がします。これを正常な心音と呼びます。正常な心音以外に、本来聞こえないはずの音が聞こえる場合、それを心雑音と言います。聴診器を使って音を聞くことで判断されます。
大半の心雑音は害のない「無害性雑音」であるとされています。注意深く聴診すると、約半数の子どもに聞かれることがあります。日によって、または体調によって聞こえたり聞こえなかったりします。この無害性雑音は特別な治療を必要としません。
一方で、心雑音の背後に何らかの病気(先天性心疾患など)が隠れている場合もあります。雑音をきっかけに先天性心疾患が見つかり、適切な早期治療に結びつくこともしばしばあります。また、生後間もない時期には、左肺動脈という血管が狭くなりやすく、そこで加速した血液が雑音の原因となることがあります。しばらく経過を見ると自然に広がることがほとんどです。
原因検索には、心エコーによる検査が役立ちます。